2006 Fiscal Year Annual Research Report
活動中心主義の学習論における文化的道具の位置づけに関する思想史的研究
Project/Area Number |
17730447
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
古屋 恵太 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (50361738)
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Keywords | 教育哲学 / ジョン・デューイ / 社会的構成主義 / 進歩主義教育 / 道具主義 / エロス / 人工物 / 表象 |
Research Abstract |
本研究の目的は、活動中心主義の学習論を現代の社会的構成主義(social constructivism)の観点から理論的に強化し(理論的研究)、さらに、活動中心主義の学習論の歴史的ルーツである進歩主義教育思想を、この社会的構成主義の人工的媒介の見地から再構成すること(思想史的研究)にある。 前者の理論的研究に取り組むため、今年度は、表象の概念に着目し、反表象主義によって生じる表象の再編成について検討し論じた。テューイ主義者を自称するリチャード・ローティ(Richard Rorty)らの反表象主義が示唆したのは、人為性・人工性の外部に自然な学びや体験のフィールドが存在するということではなく、そのような外部は存在しないということであり、実在の表象を批判しても表象の学習上の否定にはつながらないということであった。この成果は、論文「反表象主義後の表象論の再編成に向けて」(教育思想史学会『近代教育フォーラム』第15号2006年37-47頁)に著されている。今年度は、表象という新たな観点を導入したこの研究の成立のために社会的構成主義関係図書を多量に必要とした。また、この課題について専門的知識の提供を受けたため、謝金を要した。さらに、後者の思想史的研究に取り組むために、資料収集と図書の購入を行い、1910年代から20年代にかけて教育界を席捲したIQ論争を再検討した。このIQ論争は、自然なものとされる遺伝的知能を人為的に測定可能とした点で自然と人工の二分法の具体的展開と見ることが可能である。この成果は、論文「ジョン・デューイによるIQ論争の再文脈化の試み-優生学的思考を可能とする個性概念との対峙-」として著された。この論文は、藤川信夫編著で勉誠出版から来年度内に出版予定の『教育学における優生思想の展開』(仮題)に収められる予定である。
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