2007 Fiscal Year Annual Research Report
活動中心主義の学習論における文化的道具の位置づけに関する思想史的研究
Project/Area Number |
17730447
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
古屋 恵太 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 講師 (50361738)
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Keywords | 教育哲学 / ジョン・デューイ / 社会的構成主義 / 進歩主義教育 / 道具主義 / エロス / 人工物 / 近代教育思想批判 |
Research Abstract |
本研究の目的は、活動中心主義の学習論を現代の社会的構成主義(social constructivism)の観点から理論的に強化し(理論的研究)、さらに、活動中心主義の学習論の歴史的ルーツである進歩主義教育思想を、この社会的構成主義の人工的媒介の見地から再構成すること(思想史的研究)にある。 前者の課題に取り組むために、今年度は、エロスの概念に着目し、児童中心主義とは異なる主体性のあり方を探った。近年のアメリカ教育哲学の論文・文献を収集し、分析することで、教師・子どもの感情的関わり、特にエロスの概念の再評価が見られることを明らかにし、それを単に感情重視の観点からではなく、人工的媒介の理論と接合したことに意義が認められる。その成果は、論文「エロスの教育哲学としてのデューイの道具主義-軟質と硬質の哲学の狭間で-」(「東京学芸大学紀要 総合教育科学系」第59集、2008年 17-25頁)として著された。 後者の課題には、まず、1910年代から20年代にかけて教育界を席捲したIQ論争を再検討することで取り組んだ。既に昨年度ほぼ完成していた論文「ジョン・デューイによるIQ論争の再文脈化の試み-優生学的思考を可能とする個性概念との対峙-」がこの成果として拳げられる。今年度中に、藤川信夫編著「教育学における優生思想の展開」(勉誠出版、2008年347-370頁)に掲載され、刊行された。最後に、学会参加等を通した資料収集に基づき、進歩主義教育の哲学、即ち、プラグマティズムを、近代教育思想批判と解釈する観点から、その教員養成への貢献をも独自に明らかにしき。それを示すのが、「プラグマティズム、教員養成、そして近代教育思想批判」(教育哲学会「教育哲学研究」第96号、2007年171-177頁)である。
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