2005 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成系大学・学部の「生き残り戦略」に関する史的研究
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17730448
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
佐久間 亜紀 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 助教授 (60334463)
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Keywords | 教師教育 / 師範学校 / 教員養成系大学・学部 / 女性教師 |
Research Abstract |
平成17年度は、三年間の研究計画の初年度である。本年度は、研究計画調書に記入した第一期を対象として研究をおこなった。すなわち、公的教員養成機関の成立以前から、教師教育批判が成立しており、批判言説によって州立師範学校が成立した側面があったことについて検討を進めた。具体的には、まず予備調査が未完であったため、9月下旬に渡米調査をミシガン州立大学においておこない、史料を渉猟した。渡米調査に際しては、年度前半の研究成果を、平成14〜16年度に交付を受けた科研費若手研究B「教職の専門性概念の史的変化」の研究成果もあわせて、ミシガン州立大学で開催された国際比較教育学会(CIES)において発表した。外国旅費はその経費である。 つぎに、渡米調査によって収集した資料の検討をおこなった。検討の結果、19世紀初頭の教師批判の主要な言説が明らかになった。同時に、現実の教師たちの日記や資料を丹念に検討する作業を通じて、批判言説と実際の教師たちの日常生活は、かなり異なっていたことが明らかになった。これらの研究成果を、論文「日記と手紙にみる女性教師の心性-19世紀アメリカにおける教師像とその実態」にまとめ、共著『国家・共同体・教師の戦略』(昭和堂)の一章として刊行した。 なお、アメリカの教師教育史に関する本研究の副次的成果として、米国の免許更新制度成立史も検討した。現在我が国においても教員免許更新制度を導入しようとする議論が、米国の免許更新制度を主たる参考にしておこなわれている現状に鑑み、朝日新聞紙上に政策提言をおこなった。この提言は注目を集め、International Herald Tribune紙にも英訳され報道された。 来年度は、研究計画調書に記入した第二期について、引き続き研究をおこなってゆく。
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