2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730452
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
秋山 麻実 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (90334846)
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Keywords | 保育史 / ジェンダー / 女性史 / 保育者 / 母性 / 男性 |
Research Abstract |
平成17年度は、第一に、保育者とジェンダーに関する保育史料の書誌データ整理と、収集を行った。収集の結果から、保育者とそのジェンダーについて考察をすすめるためには、(1)専門書、啓蒙書、雑誌といった形態による分類、(2)幼稚園黎明期の理論、保育所・託児所の位置づけをめぐる議論、農繁期託児所に関する報告、総力戦体制に向けた保育実践と理論といった問題に焦点を当てた分類が必要となった。また、数少ない男性の保育実践者については、個別に研究をすすめる必要があると考えられる。 保育者のジェンダーの論じられ方は多分に母親役割や女子教育とかかわりをもち、イギリスの保育学校やドイツ、フランス等の母親学校といったものが視野に入ってくることが確認できたので、対象史料を女子教育論、母性論、海外のジェンダー史、保育史にも広げた。 第二に、現在の男性保育者の予備的意識調査を行った。その結果、現代の男性保育者にとって、より大きな問題と感じられているのは、保育現場では女性が多数であるために起こる意思疎通や設備の問題よりも、報酬その他の労働条件であることが予測される。また、意思疎通や設備等の摩擦、雇用形態についての問題は、特に就職後1〜3年に起こり、その時期を乗り越えると、そうした問題は意識されなくなる傾向が予測される。ジェンダーに基づく問題は、保育者のなかで、進路選択や人間関係にかかわる個人的な問題として解決されるか、あるいは労働条件の問題として取り上げられ、総体的にジェンダーの問題として取り上げられにくい状況にあると考えられる。
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