2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730452
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
秋山 麻実 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (90334846)
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Keywords | ジェンダー / 保育史 / 保育者 |
Research Abstract |
18年度は、日本における保育の基盤の形成過程に、保育者のジェンダーがどのように語られたのか、また保育・教育関係者が子どもの育ちについて考え、情報や意見を交換しながら実践を創り上げていくなかで、どのようなジェンダーが立ち現れるのかを明らかにする作業を行った。 具体的には、19世紀後半の欧米の子育て論・幼稚園論及び明治初期の賢母論・幼児教育論を参照点としつつ、明治30年代を中心に創刊された『京阪神聯合保育会雑誌』等の保育雑誌の言説分析を進めてきた。その結果、保育者のジェンダーへの言及のあり方が、保育の社会的意義や期待といった要素と関連し、また内容や語り手と保育実践との距離によっても異なること、保育実践についての語りにおいては、語り手でありかっ保育実践者である立場にある保育者のジェンダーは、社会の他の分野におけるそれとズレをもって析出せざるを得ないこと等が明らかになってきた。 このような保育者のジェンダー表象は、専門家としての保育者のあり方から生じるだけでなく、理論的あるいは啓蒙的な語りと、具体的な事象について検討していく語りとの性質の差によっても生じると考えられるし、また語り手(集団)とその内容の登場人物(集団)とが一致するという構造上生じているとも考えられる。とりわけ女性たちのジェンダーが、一方的に語られる対象となるのではないこうした状況と、保育の語られ方との関わりの検討を行いながら次年度には、研究の総括および発表を重点的に行う予定である。
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