2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄の郷友会形成過程と地域の共同性に関する社会教育的研究
Project/Area Number |
17730458
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山城 千秋 熊本大学, 教育学部, 助教授 (10346744)
|
Keywords | 教育学 / 民俗学 / 郷友会 |
Research Abstract |
1.沖縄県内および海外の郷友会活動に関する質的調査の実施 (1)昨年度実施した「戦後沖縄の郷友会と地域の共同性に関する調査」の調査結果を、1980年代の郷友会活動を記録した『郷友会』(琉球新報社)と比較検討を試みた。その結果、今日の活動が、80年代よりも生まれ故郷との関係を深め、支える活動に変容していることが明らかになった。 (2)郷友会の実態をさらに検討するために、国頭村奥と竹富町祖納の2集落について実証研究を行った。国頭村奥郷友会は、主に那覇市に居住した人々で構成され、共同墓の建設や基金制度の運営、郷友会誌の発行など、郷土の人間関係を強固につなぐ活動を行っている。さらに平成18年10月に開催された奥共同店100周年記念事業では中心的な役割を果たした。一方、離島の祖納集落には「まるま会」という郷友会が石垣市に結成されており、集落行事と結びついた活動を行っている。特に集落の伝統行事と民俗芸能の継承に会の目的をおき、青年部を中心に祭祀では奉納舞踊などの重要な役割を担っており、集落・郷友会による相互扶助が集落を維持可能にしている。 (3)平成18年9月下旬、ブラジル沖縄県人会とその支部に対する聞き取り調査と文献収集を行った。特に、10月に母県沖縄で開催された「第4回世界のウチナーンチュ大会」に帰省したブラジルの郷友の追跡調査を那覇市小禄、嘉手納町、浦添市にて行い、そのなかで移民100周年を前にして、世代交代とウチナーンチュ意識の継承、ネットワークの重要性が問題として明確になった。 2.「在伯沖縄人の郷友会調査」の実施 ブラジル移民のライフ・ヒストリーから郷友会の役割を明らかにするために、面接による質問紙調査を主に一世を対象として実施した。12市町村の郷友会員74名から回答を得たが、まだ多くの一世、郷友会に聞き取りをする必要があり、次年度も引き続き調査を継続することにしている。また次年度は、移民青年隊着伯50周年記念事業があり、青年隊出身者に対する調査も検討する。
|
Research Products
(1 results)