2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄の郷友会形成過程と地域の共同性に関する社会教育的研究
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17730458
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山城 千秋 Kumamoto University, 教育学部, 准教授 (10346744)
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Keywords | 教育学 / 民俗学 / 郷友会 |
Research Abstract |
1. ブラジル沖縄青年隊移民記念式典にみる移民社会 (1)ブラジル沖縄県人会を牽引してきたのが、戦後に単身移民で渡伯した303名の移民青年隊である。彼らは、青年隊模合を興して事業を展開する一方、県人会活動では、彼らが中心となってスポーツ行事や演芸会などを定着させてきた。2007年9月30日、その移民青年隊の50周年記念式典がサンパウロ州ジアデーマ市で開催され、県人会に貢献した青年の役割を再確認した。 (2)青年の郷友会(県人会)への参画は、同郷組織を維持可能にする。ブラジルの場合、二・三世の若い世代に対して積極的な「沖縄文化の伝承」を行っており、それが他県人会が抱える後継者問題・育成を解消していると結論づけられる。移民100周年を目前に控え、県系人としての愛着や誇りをもつ若い世代の育成は、母県・沖縄の役割であることも同時に認識されなければならない。 2. 郷友会社会の維持可能な発展と地域の共同性 沖縄県内外及び海外の郷友会活動の調査から、以下の点が明らかになった。 (1)郷友会は、母県・母村との共同関係にあるため、母県・母村の変化は、直接的に郷友会へ影響を与えている。今日の市町村合併がその典型事例であるが、たとえば、佐敷町、知念村、玉城村、大里村が2006年1月1日に南城市として合併したために、ブラジルの各町村人会も「南城市民会」として翌年1月に統合された。母県・母村の変化は、当事者の市町村だけでなく、遠く離れた国内外の市町村人会にも影響を与え、表裏一体の関係であることが明らかになった。 (2)郷友会の維持可能な発展には、青年の存在が不可欠である。福岡沖縄県人会は、進学・就職等で福岡に一時的に暮らす沖縄青年も会員としている。今日、様々なサークルや集団が数ある中で、青年の郷友会・県人会への加入を促しているのは、母村で培った同郷人としての共同意識と文化価値を共有し、沖縄の共同社会を具現化する組織であることが、重要な要素となっている。
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Research Products
(2 results)