2005 Fiscal Year Annual Research Report
英国の研究評価の大学管理運営への影響に関する研究-日本へのインプリケーション-
Project/Area Number |
17730481
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横山 恵子 広島大学, 高等教育研究開発センター, 講師 (20379853)
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Keywords | 大学評価 / 大学管理運営 / イギリス / 高等教育 / 大学組織 / マネジェリアリズム / 同僚性 |
Research Abstract |
本年度は、英国における2001年の研究評価(Research Assessment Exercise)の高等教育機関の組織文化への影響について調査する目的で、(i)文献調査、(ii)準構造的面接調査、(iii)質問紙調査を実施した。 (i)文献調査 文献は、主として財政カウンシル、HERO(Higher Education and Research Opportunities in the United Kingdom)、サンプリングの対象機関から入手した。 (ii)準構造的面接調査 準構造的面接調査の目的は、RAEに関連した、全学的・部局内の組織文化の特徴(e.g.同僚制とマネジェリアリズムや、研究と教育のバランス)を明確にすることであった。面接調査の協力者のサンプルは、財政カウンシルの研究・知識移転局長、学長、副学長、学長補佐、研究委員長、社会学科長、物理学科長あるいは物理学研究グループ長であった。 (iii)質問紙調査 (i)と(ii)を補完するデータとして、サンプリングの対象部局の教員に対し、質問紙調査を実施した。 (i)〜(iii)によって得られた事例データを質的手法を用い分析した結果によると、2001年のRAEは、分析対象の市民大学の2校と新しい大学において、マネジェリアリズムと研究志向の強い組織文化をもたらしたことを示した。組織文化の変化のパタンやプロセスは、同僚制とマネジェリアリズムのバランスと関連して、3大学間で相違があった。これは、それぞれの機関の伝統的な組織文化の違い、RAEに関する大学執行部のビジョン・戦略計画・リーダーシップの在り方の相違、大学執行部と部局との関係の違い等にあることが分析の結果分かった。分析の対象となったオックスブリッジ大学については、1996年から現在に至るまで、マネジェリアリズムへの移行を含めた際立った組織文化の変化が観察されなかった。このような分析結果を、Association for the Study of Higher EducationのInternational Forum (フラデルフィア)やEuropean Association of Institutional Research Forum(リガ)で発表した。 以上のような英国の事例分析の結果を踏まえ、来年度は英国の研究評価の日本への示唆について調べていきたい。
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Research Products
(3 results)