2005 Fiscal Year Annual Research Report
心理主義化する現代日本と子どもたちの人間関係の現在
Project/Area Number |
17730486
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
小針 誠 同志社女子大学, 現代社会学部, 講師 (90388067)
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Keywords | 心理主義 / 友人関係 / 子ども(小・中学生) |
Research Abstract |
近年、日本社会において、「社会の心理主義化」と呼ばれる現象が進行しているといわれる。これは教育や子ども社会においても例外ではない。こうした社会の動向に対して、社会学者をはじめとする識者が批判的に論じているものの、実証的に明らかにした研究はこれまでなかった。本研究の目的は、「社会の心理主義化」と呼ばれる現象・問題の理論的検討とあわせて、中学生を対象としたインタビュー調査や質問紙調査を行い、それが教育や手ども社会に及ぼす影響について明らかにすることにある。 本年度は、まず「社会の心理主義化」と呼ばれる現象をめぐる理論的検討と、来年度実施予定の中学生対象の質問紙調査の実施に向けて、調査票の予備調査(プリテスト)を兼ねて、中部地区の中学3年生5名を対象にインタビュー調査を実施した。調査の結果、親しい友人関係になればなるほど「こころ」を高度に気遣う関係があること、そして諸々の悩みや人間関係上のトラブル等については、身近な親・きょうだい・友人に相談する傾向があり、多額の税金を投入されて導入された「スクール・カウンセラー」がほとんど利用されていない現状が明らかになった。これは「政策の失敗」を示唆するものであるといえよう。また、理論的検討の一部については、小針 誠「『荒れる成人式』考」(単著・『同志社女子大学学術研究年報』第56巻・2005年12月刊行)という論考にまとめた。 来年度は、今年度の研究成果をもとにして、中部地区の中学2・3年生約500名を対象とした質問紙調査を実施し、本年度実施したインタビュー調査の成果とあわせて、複数の学会で報告し、その内容に加筆修正を加えつつ、学術論文(学会誌や紀要など)としてまとめていく予定である。
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Research Products
(4 results)