2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国・カナダ連邦における多文化的歴史教育の理論的・実践的研究
Project/Area Number |
17730494
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
桐谷 正信 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (90302504)
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Keywords | 多文化教育 / 多文化共生 / 社会科教育 / 歴史教育 / 多様性 / 公共性 |
Research Abstract |
本研究は,国内の多文化化・価値の多様化の進展に伴う教育の課題に応えるために,多文化主義(Multiculturalism)を前提とする教育のあり方を考える基礎的研究である。多文化教育のあり方について考究する際には,現代的課題と捉えられがちであるが,多文化的状況の歴史的形成過程こそが中心的課題となる。それゆえ,多文化教育の先進国であるアメリカとカナダにおける多文化的歴史教育論と「多様性」・「公共性」の両者に尊重した教育実践(カリキュラムや教科書等の教材を含む)の比較検討を通して,日本における多文化共生社会の教育のあり方について考察を行った。本年度は3年度の初年度にあたり,資料の収集・分析及び検討を行った。具体的には,本年度の研究として,主に以下の四点について研究活動を行った。 (1)カナダで開発・実践されている「多文化的歴史教育」カリキュラムの収集・分析を行った。具体的には,今年度はカナダ,ブリティッシュ・コロンビア州教育局に赴き,社会科教育担当者及びカリキュラム開発担当者への意見聴取を行った。 (2)カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州における先住カナダ人(First Nation)に関する独自のカリキュラムを収集し,分析した。 (3)カナダ,ロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館,バンクーバー博物館,ブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館における,先住カナダ人に関する教育プログラムを収集・分析した。 (4)多文化共生社会に対応した教育の実現のために教師の多文化的資質の育成が重要であるとの観点から,教員養成大学教員養成・研修の必要性とあり方について検討した。
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