2005 Fiscal Year Annual Research Report
病弱児を対象としたコーピング介入による心理的ストレス低減の効果の検討
Project/Area Number |
17730518
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
平賀 健太郎 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (30379325)
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Keywords | 病弱児 / 心理的ストレス / コーピングの変容 / 介入 |
Research Abstract |
本研究では,病弱児に対して,疾患に関連したストレッサーへの適切なコーピングの教示を行い,コーピングの変容を促すことを試みることを目的としている。具体的な介入内容を決定するため,聞き取り調査からの10名の病弱児が直面したストレッサーおよび,そこで使用されたコーピング方略の効果に関する事例を臨床心理士との話し合いによりまとめた。その結果,薬物治療による外見上の副作用,運動制限・食事制限などは,それ自体がストレッサーであることに加え,周囲の友人から孤立してしまうことへの不安が大きなストレッサーになっていることが伺えた。これらの病状管理のために不可避なストレッサーに対しては,積極的なコーピング方略の使用よりも,回避的なコーピング方略の使用が有効な場合も多いことが示唆された。積極的なコーピング方略が適切に機能するためには,その使用に対して効果を実感し,肯定的な評価をしていることが必要であることが伺われた。これらの結果より,不適切であると考えられるコーピング方略を使用している病弱児には,使用しているコーピング方略の効果が少ないことへの気付きを促すような教示が必要であることに加え,他のコーピング方略の有効性を示唆することを教示するような介入も必要であることが示唆された。上記の事例をまとめた報告を平成18年4月中に関連学会誌に投稿準備中である。 以上の内容に加え,文献的検討や小児科医師や臨床心理士などの専門家との話し合いの結果を踏まえて,病弱児がストレッサーの内容に応じて,適切なコーピング方略を選択し,使用することが可能となることを目標とした介入内容を決定した。次年度以降は,以上の内容に沿って介入を実施し,病弱児のコーピングの変容を促すことを試み,ストレス反応を低減する効果を検討する。
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