Research Abstract |
本研究では,慢性疾患患児のコーピングの変容を促し,患児のストレス反応を低減する効果を検討し,効果的な介入プログラムの構築を検証することを目的としている。18年度では,まず患児が使用している効果的,あるいは効果が少ないコーピング内容をストレッサー別に精選・整理し,その後に介入を実施した。対象者は病弱教育の代表的な疾患である腎疾患とし,小児科において定期的な外来治療が必要な者12名とした。介入内容は,以下の過程によって行なわれた。 (1)ストレッサー,ストレッサーへのコーピング,ストレス反応などの概念を用いながら,心理的ストレスを概説し,ストレスの所在を患児に理解してもらう,(2)現在,使用しているコーピングや,現在使用している以外のストレス反応を低減する可能性のあるコーピングを検討する,(3)ストレッサーに対処している自分をイメージし,(2)で獲得したコーピングのリハーサルを行う。 介入前後で,コーピング得点,およびストレス反応得点にて有意差が認められた患児は少なかった。しかし,患児の自己報告からは,自分が使用しているコーピングが,ストレス反応に影響を与えていることが理解でき,ストレス対処への自信が増加したとの内容が多く認められた。また,患児が現在使用しているコーピングとその理由,および効果があるとコーピングと考えているが,それを使用しない理由が明らかとなった。慢性疾患患児のストレスマネジメントプログラムを構築する際に有用な資料となることが期待される。今後は,長期的な視点から継続したコーピング介入を行い,縦断的にコーピング得点の変化および,ストレス反応得点の変化を検証していくことが必要であることが示唆された。
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