2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己同型群による不変部分頂点作用素代数の表現のヅー代数による考察
Project/Area Number |
17740002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田邊 顕一朗 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (10334038)
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Keywords | 頂点作用素代数 / ムーンシャイン頂点作用素代数 / モンスター単純群 / リーチ格子 |
Research Abstract |
今年度は、山田裕理氏(一橋大)と共同でリーチ格子を含むある格子の無限系列に対して、それに付随する頂点作用素代数の位数3の自己同型による固定点全体からなる部分代数の表現を研究した。その代数の既約加群を分類し、さらに全ての加群が完全可約であることを示した。一般に有限位数の自己同型群で固定される部分代数の表現に関して、既約加群の分類および加群の完全可約性に対する予想があるのだが、我々の結果はこの予想の自己同型群の位数が3の場合の検証例になっている。 1988年にFrenkel-Lepowsky-Meurmanはリーチ格子に付随する頂点作用素代数の、ある位数2の自己同型による固定点全体からなる部分代数を用いてムーンシャイン頂点作用素代数を構成した。彼らは同時に、位数が3,5,7,13の自己同型に対してもリーチ格子に付随する頂点作用素代数の対応する部分代数を用いてムーンシャイン頂点作用素代数を構成出来る、との予想を与えている。この予想を解く為には、まず自己同型による固定点全体からなる部分代数の表現を研究する必要がある。我々の上記の結果は群の位数が3の場合にこの問題の部分的な解決を与えている。自己同型の位数が3の場合の彼らの予想を解く為には、さらに部分代数の表現を調べる必要があるのだが、その研究は現在進展中である。この研究はムーンシャイン頂点作用素代数の自己同型群であるモンスター単純群の性質を解明する為に重要である。特にFrenkel-Lepowsky-Meurmanによるムーンシャイン頂点作用素代数の構成法では取り扱いの難しい位数3の元に関連するモンスター単純群の部分群の理解が格段に深まる。
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