2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 健 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (90362409)
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Keywords | ベクトル束 / モジュライ |
Research Abstract |
本年度の研究実績は次のようである。 まず始めに、SL(2)の場合の「奇妙な双対性」に関して昨年度行った研究の手法の見直しをいった。「奇妙な双対性」については、BelkaleおよびMarian-Opreaによって研究代表者とは異なる方法で一般的に解決されたため、研究代表者の退化を用いるという手法の優位点を探したいことがその動機である。その結果、SL(2)の場合の「奇妙な双対性」のときの手法の応用として、階数2の場合のベクトル束のモジュライのテータ埋め込みが一般曲線の場合には射影的正規であることを証明することに成功した。これを論文としてまとめた。 次に8月に国際数学者会議のサテライトコンファレンスに参加し、ベクトル側についての最新の結果について情報収集を行った。 その後、昨年度のSL(2)の研究をシンプレクティック群の場合に拡張する研究に着手した。具体的な目標は、シンプレクティック群の場合の「奇妙な双対性」を退化を用いて解決することである。そのためのステップとして、本年度はまず、Kauszによる一般線形群のコンパクト化のシンプレクティック類似を定式化して証明することが出来た。この代数群のコンパクト化はスフェリカル多様体と呼ばれているもので、これについて名古屋大の藤野修氏と議論を行った。さらにこれを用いて、結節点をもった特異な代数曲線上のシンプレクティック束のモジュライの一般テータの空間に対する、分解定理を証明することが出来た。 10月から1月までのフランスとドイツの海外出張中に以上の進行中の研究発表を行った。ニース大のBeauville教授には貴重な研究示唆を受けた。
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