2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 真之 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (10378961)
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Keywords | 逆同伴 / 対数的標準特異点 / 極小モデル理論 |
Research Abstract |
対数的標準特異点に関する逆同伴を証明した. 極小モデルプログラム(MMP)とは各双有理同値類に著しい性質を持つ代数多様体を見つけるプログラムで,森が3次元MMPを完成させて以来その高次元化は未完成のまま残されている.高次元MMPの完成にはフリップの存在と終止を示さなければならないが,最近HaconとMcKernanによって低次元MMPの仮定下でフリップの存在が証明され,MWPの高次元化がフリップの終止に帰着された.問題の難しさはMMPの過程で特異点が生じることに起因する.それらの特異点は極小食い違い係数によって定義されるが,高次元では定義以上の性質は十分調べられていない. 私はこの視点から対数的標準特異点に関する逆同伴を証明した.代数多様体と因子の組を対象とすることは対数化と呼ばれ,これによって強力な理論が展開される.対数的な組(X,S+B)から因子S上に新たな組(S,B')が自然に導入されるとき,両者の特異点を比較する主張が(逆)同伴である.対数的標準特異点とは極小食い違い係数が-1以上となる特異点のことで,MMPが機能する最も広範囲な多様体の類を定める.私は,始めの組(X,S+B)が対数的標準特異点を持つことと新しい組(S,B')が対数的標準特異点を持つことの同値性を証明した. 非自明な主張は,(S,B')が対数的標準特異点を持つとき(X,S+B)も対数的標準特異点を持つことである.(S,B')が川又対数的端末特異点と呼ばれる少し良い特異点を持つ場合の類似の主張は古くから知られていた.そこで(S,B')が真に対数的標準特異点となるS上の集合Lが手掛かりになる.私は乗数イデアルの類似からXの閉部分スキームの無限列{Y(i)}を構成したY(i)たちはY(i)∩S=Lとなる一方,(X,S+B)が対数的標準特異点を持たなければ無限列{Y(i)}は真に増大し,よってS=Lとなる矛盾した等式が導かれる.こうして(X,S+B)も対数的標準特異点を持つことがわかる.
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