2005 Fiscal Year Annual Research Report
アーベル多様体及びその保形性と関連するアルゴリズムの数論的研究
Project/Area Number |
17740024
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
梅垣 敦紀 上智大学, 理工学部, 助手 (60329109)
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Keywords | アーベル多様体 / モデュライ空間 / 有理点 / 偏極 / 虚数乗法 |
Research Abstract |
研究テーマは「アーベル多様体の保形性」である。これは「有理数体Q上定義される楕円曲線はすべて保形性を持つ」という谷山志村予想と呼ばれる問題に端を発するものである。現在では十分な解決をみたこの予想は、有名なFermat予想と直結して注目を集めた問題であり、1次元アーベル多様体である楕円曲線と1変数保形形式との緊密な関係を解き明かす深遠な意味を持つ問題でもある。現在では、この予想の対象がQ上の楕円曲線にとどまること無く、アーベル多様体のより大きな族に拡張されいくつかの間題が提起されている。 このテーマの下で、とりわけ、 (1)偏極アーベル曲面のモデュライ空間A_2(d)におけるある性質を満たす有理点の決定 (2)アーベル曲面に関連するアルゴリズムの開発とその実装 (3)アーベル曲面と2次元ジーゲル保形形式との対応 という問題に焦点を当てて研究を行っている。 今年度は、(1),(2)の問題に関連した山形大学の村林直樹氏との共同研究として、QM型のアーベル曲面のモデュライ空間である志村曲線から主偏極アーベル曲面のモデュライ空間A_2(l)への射を具体的に複数の場合に対して計算機を用いて求めた。これは、レベル付の楕円曲線のモデュライ空間であるモデュラー曲線X_0(N)から楕円曲線のモデュライ空間であるj-lineへの射であるj-関数の2次元の場合への拡張ともいうことができる今後の研究を推し進める上で礎となる計算である。 また、(1)の問題に関連した来年度以降の研究の準備として、計算機を用いてA_2(d)の代数体上有理的なCM点を求める計算実験を行い、現在も継続中である。
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