2005 Fiscal Year Annual Research Report
多様体上の接分布構造の微分トポロジー的研究とその応用
Project/Area Number |
17740027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 二郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 学術研究員 (20374184)
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Keywords | 接分布構造 / 安定性 / 積分曲線 |
Research Abstract |
多様体上の接分布,あるいは外微分式系を研究しています.接触構造,Engel構造,高次の接触構造,ジェットバンドルの標準構造をはじめ,その他一般の接分布やそれに関するリジッドパスなど,興味の対象は,拡張し続けています.接触構造,シンプレクティック構造のトポロジーは,今まさに動いている分野です.ところが,Engel構造などの外微分式系に対しては古くから研究がされているにも関わらず,大域幾何的な研究はあまりないと思われます.ここでも,特色のある研究を展開できないかと考えています. 以下の結果が,今年度の研究で得られた主なものです。 特殊多重-旗構造に関するGray型の定理を考察しました.1回のLieカッコ積で次元が1ずつ上がっていく接分布の旗構造は,Goursat旗構造と呼ばれます.その一般化として,Lieカッコ積で2以上の大きなk-次元ずつ上がっていくもので良い性質を持つものを,特殊多重-旗構造とMormulは定義しました.この旗構造に対し,以前に示した議論を適用することが出来ることが示せ,その結果,特殊多重-旗構造のある条件の下での大域的安定性が得られました. 3次元接触トポロジーにおいて,Legendre曲線または結び目は重要な役割を果たしました.同様なものがEngel多様体でも考えられるはずです.そこで,標準Engel$4$-次元空間への円周の埋め込みを考ました.常にEngel接分布に接するように埋め込まれた"水平円周"の水平イソトピーによる分類を得ました.4次元空間への1次元多様体の埋め込みなので,結び目にはなりませんが,標準Engel構造の標準枠に関する回転数が不変量になり,これで分類できることが分かりました.また,Engel水平曲線は特異点を持つLegendre曲線の持ち上げで表されるので,さらなる射影を考えることにより,%波面のレベルで局所的な様子を調べ,Engel水平曲線の意味でのReidemeister移動を決めました.
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