2007 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間のベイユ・ピーターソン幾何学と写像類群の剛性問題への応用
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17740030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 澄生 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90396416)
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Keywords | リーマン面 / 調和写像 / タイヒミュラー空間 / 楕円型強圧的偏微分方程式系 / コクセター複体 / アレキサンドロフ空間 |
Research Abstract |
本研究課題の実施において、微分可能多様体上に定義されたリーマン計量の変形理論について、タイヒミュラー空間の幾何学の観点から考察を進めると同時に、極小曲面の自由境界の共形構造の特徴付け、および三次元空間内のグラフの曲率の定義を行った。1)リーマン面の変形理論には、ノード(節)を持つ曲面の統括的な理解が必須であるが、その一つの試みとして、タイヒミュラー空間を基本領域として持つコクセター複体の構成を行った.半単純リー群から作られる非コンパクトな対象空間の一般化であるコクセター複体は、幾何学的に非常に豊かな構造を持ち、今年度構成した空間に等長的作用する写像類群の特徴付けに、役立つことが期待される。また将来的には無限次元等質空間であるユニバーサル・タイヒミュラー空間のベイユ・ピーターソン距離関数によるCAT(0)幾何学を捉えるのにこのコクセター複体を利用することが効果的であると本研究代表者は考える。2)極小曲面は二次元曲面の調和写像の像として、捉えることができ、ここで写像の値域となる曲面の共形構造の変形理論と調和写像の変分的特徴を組み合わせることによって、極小曲面の自由境界の正則性を定式化することを目指した.現在、80年代にKinderlehrer, Nirenberg, Spruckによって偏微分方程式の理論を用いて証明された自由境界の実解析性を上に述べた変分法的観点から証明することができることを今年度の研究において示した.ここで用いた特異点を持つ曲面の共形構造の構成法は、新しいものであり、リーマン面の古典的理論を二次元の単体的複体上に自然な形で拡張するにあたって、有用であると考えられる。
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Research Products
(5 results)