2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川平 友規 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 助手 (50377975)
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Keywords | 複素力学系 / Julia集合 / ラミネーション / サリバンの辞書 / くりこみ |
Research Abstract |
1.1990年代,リュービッチとミンスキーはクライン群に付随する3次元双曲多様体のアナロジーとして,複素力学系に付随する3次元双曲ラミネーションを定義した.特に,クライン群におけるモストウ剛性のアナロジーにより,ある種の複素力学系の剛性定理を証明している.一方で,3次元双曲多様体に比べ,3次元双曲ラミネーションの構造の詳細は限られた例を除きほとんど知られていなかった.今年度は主に,無限回くりこみ可能な2次多項式に付随するリーマン面ラミネーションの構造について研究(カブレラとの共同研究)し,概ね以下め結果を得た: (1)無限回くりこみ可能な2次多項式は,チユーニング不変量と呼ばれる組み合わせ的な不変量をもつ.これは超吸引的な周期点をもつ2次多項式め列に対応するが,実はファインゲンバウム型の無限回くりこみ可能な2次多項式に付随するリーマン面ラミネーションはその超吸引的な周期点をもつ2次多項式に付随するリーマン面ラミネーションと同相な「ブロック」を可算無限個つなぎ合わせることで得られることがわかった. (2)2つのファイゲンバウム型写像が同相なリーマン面ラミネーションをもてば,実は同じ写像であることを示した.力学系から得られる幾何学的な対象が逆に力学系を決定していることになる. 2.反発的(吸引的)固定点の局所的な作用はケーニヒス座標と呼ばれる局所的な等角写像により線形拡大とみなすことができる.同様に放物的固定点の作用もファトウ座標と呼ばれる等角写像により部分的に平行移動とみなせるが,両座標の古典的構成法は全く異なっている.上田哲生氏(京大)は近年,放物的固定点の重複度が2のとき,これらを解析的に結び付ける同時線形化定理を示したが.この結果をさらに一般の重複度に対し拡張する別証明を与えた.これにより,同時線形化定理は複素力学系で現れる一般の放物的周期点に対しても適用可能となった.
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Research Products
(1 results)