2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740036
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 篤史 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (50314290)
|
Keywords | 代数学 / 幾何学 / 数理物理学 / ミラー対称性 |
Research Abstract |
ミラー対称性とは、2つの位相的弦理論(リーマン面から多様体への正則写像の数え上げに対応するA模型と複素多様体の変形理論に対応するB模型)の等価性である。ミラー対称性や位相的弦理論は多様体の定性的および定量的な性質に関するさまざまな予想を与え、これまで個別に研究されてきた数学を結び付けるので極めて興味深い。これらの「物理的対象」を数学的に定式化して、ミラー対称性の背後にある「数学的真理」を解明するのは非常に重要な問題である。 本年度も引き続き、「原始形式の理論」を圏論的に取り扱うことにより、(弱)A無限大代数とその加群の導来圏の変形理論による「平坦構造」の統一的導出を目的として研究を行ってきた。特異点の圏論的取り扱い、より具体的には、特異点理論で80年代中旬に開発された「行列分解」のアイデアと「Landau-Ginzburg orbifold理論」と呼ばれる物理理論により,3変数重み付き斉次多項式で定まる特異点と有限次元非可換代数の間にミラー対称性現象が存在することを発見した。 とくに、多項式から代数的処方で対応するルート系を構成せよ、という齋藤恭司の問題に対する解決法を、論文「Matrix Factorizations and Representations of Quivers I」(preprint、math.AG/0506347、投稿中)で与えていたが、論文「Categories of graded matrix factoriztions for exceptional singularities」(梶浦宏成氏・齋藤恭司氏との共著、準備中)において、先の論文で与えた予想を、例外型特異点の場合に肯定的に解決した。とくに、アーノルドの「奇妙な双対性」のホモロジー的ミラー対称性の観点による新たな解釈が得られた。現在は一般の特異点に対して研究を進めている。
|