2006 Fiscal Year Annual Research Report
二枚の穴あきトーラスを境界に持つ双曲多様体の組み合わせ構造の解析
Project/Area Number |
17740038
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
秋吉 宏尚 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任助教授 (80397611)
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Keywords | 幾何学 / トポロジー |
Research Abstract |
穴あきトーラスと閉区間の直積に対し,閉区間の内部の1点に射影する穴あきトーラス内の本質的単純閉曲線に対し,その曲線に沿った(適当な枠に関する)r-デーン手術を施すことで構成できる3次元多様体をM(r)と書くとき,以下の成果が得られた. 1.昨年度得ることの出来た双曲構造の族に対するフォード領域の組み合わせ構造の予想を拡張し,基本群のPSL(2,C)表現が与えられたときに,実際のフォード領域が予想に対して肯定的かを判定するアルゴリズムを得た. 2.1で得られたアルゴリズムをコンピュータ上に実装し,基本群の表現空間において実際に与えられた表現の離散性を判定することに応用した.その結果として,デーン手術を施すために用いた穴あきトーラス上の単純閉曲線から曲線複体の距離に関してある程度離れた閉曲線でピンチすることにより得られる境界群の分布の様子を実験的に調べることが出来た. 以上の成果をスペインでの研究集会「Geometry and Topology of Low Dimensional Manifolds」などで発表した. また,Jorgensenにより詳しく研究のなされた穴あきトーラス擬フックス群(この研究の枠組みとしては自明な手術により得られる多様体の双曲構造)に対し,フォード領域の組み合わせ構造を用いて定義されるside parameterと,多様体の無限遠境界に現れるリーマン面の等角構造を用いて定義されるend invariantが,タイヒミュラー空間のWeil-Petersson距離に関して一様に近いことがわかった.その結果フォード領域の組み合わせ構造による凸核の体積の評価も得られた.
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