2007 Fiscal Year Annual Research Report
積分幾何学による変分問題:ラグランジュ部分多様体のハミルトン体積最小性
Project/Area Number |
17740040
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
酒井 高司 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特任助教 (30381445)
|
Keywords | 等質空間 / 対称空間 / 極小部分多様体 / ラグランジュ部分多様体 / R空間 |
Research Abstract |
体積汎関数の停留点となる部分多様体は極小部分多様体と呼ばれ,幾何学の分野において重要な研究対象となっている。特に,キャリブレート部分多様体は体積最小となる部分多様体として重要である。例えば,Calabi-Yau多様体内の特殊Lagrange部分多様体はキャリブレート部分多様体であり,現在,ミラー対称性に関連して注目されている。本研究課題では積分幾何学やコンパクトLie群の表現論を基に部分多様体の幾何学的変分問題の研究に取り組んだ。 Riemann対称対の線形イソトロピー表現の軌道は球面内の重要な等質部分多様体の例を与える。井川治(福島高専)、田崎博之(筑波大学)との共同研究によって,Riemann対称対の線形イソトロピー表現の軌道で球面内のaustere部分多様体と呼ばれる極小部分多様体になるものを分類した。また,各点の各法ベクトルに対して鏡映を持つ極小部分多様体として弱鏡映部分多様体の概念を与え,超球面内の弱鏡映部分多様体になる軌道もすべて決定した。さらに,Gauss写像が退化する軌道を分類し,そのような軌道は全て球面内の弱鏡映部分多様体となることがわかった。球面内の部分多様体のGauss写像の退化性についてはFerusの不等式と呼ばれる退化次数の評価式が知られている。我々の分類したGauss写像が退化する軌道によって,Ferusの不等式の等号を満たす新しい部分多様体の例を数多く与えることができる。 弱鏡映部分多様体は大域的な対称性から極小性が導出される。弱鏡映部分多様体の概念は極小部分多様体の今後の研究に役立つであろう。Austere部分多様体の概念は特殊Lagrange部分多様体を構成するためにHarvey-Lawsonによって導入された。我々の分類した球面内のaustere軌道からC^n内などの多くの特殊Lagrange部分多様体の具体例が得られる。今後はこれらの特殊Lagrange部分多様体の研究への発展が期待される。
|