2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアグラムの性質が与える結び目の幾何と代数的不変量の研究
Project/Area Number |
17740041
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
中村 拓司 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (60382024)
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Keywords | 結び目 / 標準的曲面 / 組み紐型曲面 / Alexander多項式 / ファイバー結び目 |
Research Abstract |
本年度は研究目的の1つに挙げた結び目のダイアグラムからSeifertのアルゴリズムで得られる標準的曲面の組み紐型曲面を通した研究を重点的に行った. 与えられたAlexander多項式を持つ結び目解消数1の結び目を組み紐型曲面を通して構成した研究を発展させ,与えられたmonicなAlexander多項式を持つ結び目解消数1のファイバー結び目で組み紐型曲面をファイバーに持つものを構成した.ファイバー結び目のAlexander多項式はmonicという性質を持つがその逆はどうかという問題である.特にファイバーであるこの組み紐型曲面は標準的曲面に変形できる.この結果は論文としてまとめた。 種数が1以下のファイバー結び目は自明な結び目,三葉結び目,8の字結び目しか存在しない.種数が2以上のファイバー結び目は各種数に対し無限個存在するが,1つの与えられたmonicなAlexander多項式を持つファイバー結び目は有限個か?という問題があり,80年代にMortonが否定的に解決した.このMortonの構成法に従って上述した組み紐型曲面をファイバーに持つファイバー結び目から,同じAlexander多項式を持つファイバー結び目が無限個存在することを示した.Mortonの構成では,実際に異なるファイバー結び目が無限個出来ていることの証明に補空間の双曲体積を用いているが、この議論では少なくとも無限個はあるといったことしかいえない.今回はHOMFLY多項式の次数を用いて,出来上がったファイバー結び目が全て異なることを示した.この結果は現在論文にまとめている最中である.またHOMFLY多項式の次数は標準的種数を下から評価していることから,構成した無限族のファイバー曲面は標準的ではないことが得られる.よって1つの与えられたmonicなAlexander多項式を持つファイバー結び目でファイバーが標準的なものは有限個か?という問題が考えられ,現在取り組んでいる.
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