2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアグラムの性質が与える結び目の幾何と代数的不変量の研究
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17740041
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
中村 拓司 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (60382024)
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Keywords | 結び目 / 標準的曲面 / 組み紐型曲面 / Alexander多項式 / ファイバー結び目 / 種数 |
Research Abstract |
本年度は結び目の種数とダイアグラムに関する研究、及び、研究目的の1つである標準的曲面の組み紐型曲面を通した研究を重点的に行った. 全ての結び目は向きつけられた連結なコンパクト曲面の境界として表されることが知られている.このように結び目が張る曲面をSeifert曲面という.与えられた結び目に対し,その結び目が張るあらゆるSeifert曲面の中でもっとも小さい種数を、その結び目の種数という.これは結び目のある種の幾何的複雑さを表す不変量である.結び目の種数に関してはAlexander多項式の次数による下からの評価がある.最近のFuter-Purcellの研究において,結び目の種数をそのダイアグラムのツイスト数と呼ばれるある種の幾何的な複雑さを与える量で下から評価する不等式が発見された.この不等式が真に等号を与える結び目を考察し,Alexander多項式は自明であるが,種数が任意に高い双曲結び目を構成した.この結果は現在,論文にまとめている. 種数が1以下のファイバー結び目は有限個であるが,種数が2以上のファイバー結び目は各種数に対し無限個存在する.Alexander多項式を指定するとファイバー結び目は有限個か?という問題があり,80年代にMortonが否定的に解決した.この構成法にならい組み紐型曲面をファイバーに持つファイバー結び目から,同じAlexander多項式を持つファイバー結び目が無限個生成されることを示した.Mortonは,実際に異なるファイバー結び目が無限個あることの証明に補空間の双曲体積を用いているが、この議論では「無限個含む」ことしかいえない.今回はHOMFLY多項式の次数を用いて,出来上がったファイバー結び目が全て異なることを示し,論文としてまとめた. また,この結果から考えられる問題として,同じAlexander多項式を持つファイバー結び目の有限性とそのファイバー曲面の標準性との関連があり,現在取り組んでいる.
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