2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40271712)
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Keywords | セルオートマトン / エルゴード理論 / 保存系 / 力学系 / 量子ランダムウォーク / 確率論 / 極限定理 |
Research Abstract |
保存量を持つ一次元セルオートマトンについて、初期分布を変えた場合に見られる相転移現象および量子ランダムウォークの古典極限に関する研究を行った。前者については{0,1}を状態にする場合のベルヌイ的分布を初期分布に取り、ECA184,EBCA等で見られる相転移に関するものである。状態0の出現確率を1-P,状態1のそれをPとし、ECA184ではP→1/2で相転移を生じ、EBCAではP→1/3で生じる。これは極限集合における{0,1}の経験分布によって説明され、P→1/2・1/3では周期的な極限集合のみを持つことが本質である。極限集合への収束のレートは(ΔP)^<-1>,ΔP=Pc-P, Pc=1/2・1/3程度であることもDemboらの結果を応用することで得た。後者の量子ランダムウォークについては、採用するユニタリ行列を通常の2次正方行列からN次正方行列へと拡張することでNを大とする極限操作を可能とし、この行列をバイこね変換の量子対応にとることによってN→∞では中心極限定理が復活する現象を数値計算によって確認している。この現象の数学的な証明および量子セルオートマトンとの関係については来年度以降の問題である。ユニタリ行列をバイコネ変換の量子対応以外にとった場合、同様の現象は見られない。N=2から極限をとるまでの中間的な場合には、N=2c程度でほぼ正規分布に近いものを得るが、スケーリングの正確なオーダーはわかっていない。高次元へ拡張できるか否かも今のところは不明である。
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