2006 Fiscal Year Annual Research Report
波動場における係数・欠陥同定問題に対する数値解法の研究
Project/Area Number |
17740046
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
代田 健二 茨城大学, 理学部, 講師 (90302322)
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Keywords | 応用数学 / 逆問題 / 数値解析 / 波動場 / 係数同定 / 欠陥同定 |
Research Abstract |
本年度は,平成17年度からの継続研究である「鉄とコンクリートの合成梁における接合部の欠陥同定問題」に対して,主に理論との整合性を考慮した解法改良と観測データにノイズが混入されている場合についての安定化同定手法を検討し,一定の成果を挙げることができた. 昨年度導出した手法は,元の問題を制約条件付き最小化問題へ帰着させ,最小化解を射影勾配法により求めるものであった.この際に,射影作用素として採用したのはclip-off作用素であった.しかし反復各ステップにおける係数関数が,制約条件は満たすものの,汎関数の微分可能性を保証するための滑らかさが保持できないという問題が残っていた.この問題点を解消するために,本研究では探索方向決定の際にFriedrichsの軟化子作用素とclip-off作用素の合成作用素を用いた.この合成作用素は射影作用素とはならないため,本手法は厳密には射影勾配法ではない.しかしながら,軟化子作用素の核関数を適当に選択することにより,各ステップの係数関数が制約条件を満たし,かつ理論上必要な滑らかさを保持することを理論的に保証できる.さらに,軟化子作用素のパラメータを適切に選択することにより,観測データにガウシアンノイズが一定レベル混入されている場合でも,同定解の振動がある程度抑制されることを数値実験により検証できた. 以上の成果については,国内学会・研究集会および北海道大学で開催された逆問題関連の国際会議"Inverse Problems in Applied Sciences"(2006年7月)において発表した.また,国際論文誌European Journal of Applied Mathematicsに投稿し,審査を経た上で掲載された.
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