2007 Fiscal Year Annual Research Report
リスク・センシティブ確率制御における漸近問題とその応用
Project/Area Number |
17740052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝瀬 秀裕 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 助教 (60377778)
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Keywords | 確率過程 / 確率制御 / Hamilton-Jacobi-Bellman方程式 / 数理ファイナンス |
Research Abstract |
リスク・センシティブ確率制御に関連する2階エルゴード型Bellman方程式は,未知関数の1階偏導関数について2次の非線形性を持つ2階楕円型非線形偏微分方程式である.さらに特別な場合に限ると,エルゴード型Bellman方程式を満たす解は対数変換を通じて2階線形偏微分作用素の正値解(一般化された固有値問題)と同値であることが知られている.本研究では2階エルゴード型Bellman方程式の解(2階線形偏微分作用素の正値解)の構造を動機として,1階エルゴード型Bellman方程式に対しても2階の場合と同様の構造を持つか粘性解の枠組みで研究することを1つの目的としている. Donsker-Varadhanの大偏差原理においては,2階線形偏微分作用素の第一固有値(critical value),それに対応する固有関数が重要な役割を果たす.Donsker-Varadhan型大偏差原理におけるレート関数に関連して,2階線形偏微分作用素の第一固有値(critical value)はmin-max型変分表現を持つことが知られている.一方で我々の研究により,1階エルゴード型Bellman方程式に対しても第一固有値に相当するcritical valueが存在し,またそれに対するDonsker-Varadhanと類似のmin-max型表現が,対応する決定論的制御力学系のある種の安定性の下で成り立つことが示されている. この結果の拡張を試み,制御力学系が必ずしも安定性を持たない場合にも,1階エルゴード型Bellman方程式に対する同様のmin-max表現を示した.min-max型表現は確率論的アナロジーとして導入される量を用いて表されるため,安定性を持たない決定論的制御力学系の長時間挙動に対する研究に確率論的アプローチを与えるものと期待される.
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Research Products
(2 results)