2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 迅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80362432)
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Keywords | 力学系 / ホモクリニック分岐 / コンレイ指数 / 計算ホモロジー理論 / エノン写像 / 計算機援用証明 |
Research Abstract |
本研究の過程において、研究代表者は与えられた力学系が一様双曲的になり、従って摂動に対して安定となることを計算機を援用して厳密に証明する手法を開発した。力学系が双曲的であればいわゆる双曲型力学系理論の一般論を適用して様々な結果を得られるが、実際に双曲的であることを示すのは大変難しかった。我々の手法では擬双曲性という概念を導入することにより、双曲性の証明における困難を回避することに成功した。この手法により、Davis-MacKay-Sannamiらによりエノン写像が双曲性になると予測されていたパラメータ領域が実際に双曲的であることの証明が得られた。また上記の手法の応用として、複素エノン写像族が一様双曲的となるパラメータ領域に関する「ハバード予想」の一部を解決した。これは1次元複素力学系におけるマンデルボロー集合と複素エノン写像の対応する集合が本質的に異なるトポロジーを持つことを意味し、高次元複素力学系の研究に新たな領域を開くものである。なおこれらの一様双曲性に関する結果はまだ論文として出版されてはいないが、プレプリントとしてまとめられており研究代表者のウェブページからダウンロードできる。 さらに、この手法のより現実的な問題への応用として、人工予測モデルなどに用いられる非線型レスリー写像が複数のアトラクターを持つようなパラメータ領域を決定する研究をジョージア工科大学のKonstantin Mischaikow,ヤギロニアン大学のPawel Pilarczykらのグループと進めている。この研究では、上記の双曲性の証明方法だけでなく、モース分解の自動計算アルゴリズムや、パラメータ領域のトポロジーの計算ホモロジー理論による研究などの、様々なトポロジカルかつ計算機を援用した手法が取り入れられている。
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