2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 迅 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80362432)
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Keywords | 力学系 / エノン写像 / モノドロミー / 計算ホモロジー理論 / コンレイ指数 / 計算機援用証明 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、与えられた力学系の一様双曲的を証明するためのアルゴリズム、及びその計算機上の実装を開発したが、本年度はこの手法をさらに押し進め、高次充力学系への応用を研究した。またその過程において、複素力学系のモノドロミー理論を実力学系の研究に応用する新しい方法を見い出すことができた。力学系が双曲的であれば、いわゆる双曲型力学系理論の一般論により構造安定性等の様々な結果を得られるが、実際に双曲的であることを示すのは大変難しかった。本研究では擬双曲性という概念の導入によりこの困難を克服し、一様双曲性を証明することに成功した。この手法により、Davis-MacKay-Sannamiらが予測していたパラメータ領域における実エノン写像の双曲的を証明することに成功し、さらに、複素エノン写像族が一様双曲的となるパラメータ領域に関する「ハバード予想」を解決した。これは1次元複素力学系におけるマンデルボロー集合と複素エノン写像の対応する集合が本質的に異なるトポロジーを持つことを意味し、高次元複素力学系の研究に新たな領域を開くのみならず、モノドロミー準同形の作用を通して複素と実のエノン写像の力学系が深く関係していること示した。 またこのような位相幾何学的な手法による力学系の研究の現実的な問題への応用として、人口の予測に用いられる非線型レスリー写像を例とした研究を海外の研究者らと共同で進めた。上記の双曲性の証明方法だけでなく、モース分解の自動計算アルゴリズムや、パラメータ領域のトポロジーの計算ホモロジー理論による研究などの、様々なトポロジカルかつ計算機を援用した手法が取り入れられており、従来の分岐曲線を局所的に追いかける手法の研究では見えてこなかった大域的な構造を見い出すことに成功した。
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