2005 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性をもつ新しい高速特異値分解法の開発とその理論解析
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17740055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 雅史 京都大学, 情報学研究科・京都大学研究員 (30397575)
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Keywords | 特異値分解 / I-SVD / ロトカ・ボルテラ系 / 中心多様体理論 / 漸近解析 / 不等間隔差分化 / 画像圧縮 / SPIHT |
Research Abstract |
これまでに,科学技術振興機構のPRESTOプロジェクト「特異値分解法の革新による実用化基盤の構築(研究代表者:中村佳正)」において,我々は新しい特異値分解法I-SVDを開発済みである.引き続き,SORSTプロジェクト「特異値分解法の革新による情報処理基盤の構築(研究代表者:中村佳正)」において研究が進行中であるが,I-SVDの基礎理論ではなく実用化に向けた効率的な実装化にメインテーマが移行している.もちろんI-SVDの"よさ"をひきだすには,ハードウェアとの相性を考慮した実装化は不可欠ではあるが,一方では未解明なI-SVD特有の数理構造を徹底的に調べることでさらなる性能向上が達成できると考える.本年度は,古典的な漸近解析手法の1つである中心多様体理論を利用してI-SVDの収束性について詳しく調べた.I-SVDには自由に設定できるパラメータδがあるが,そのδのおかげで既存の特異値分解法にはない優れた収束性をもつことが証明できた.国際的な数値計算ライブラリLAPACKで採用されている特異値分解法では,行列が極めて近接した特異値をもつ場合の収束性はあいまいであるが,I-SVDはパラメータδを逐次的に変化させれば確実に収束する.以上の結果は,平成18年3月の日本応用数理学会にて「中心多様体理論による可積分系アルゴリズムの漸近解析」というタイトルで口頭発表を行った.この内容に関する論文は平成18年度中に適切な論文誌に投稿を予定している.また,I-SVDを利用した画像圧縮のための予備研究も行い,成果の1部を情報処理学会の研究会にて共同研究者が口頭発表した.この内容は平成18年度中に論文化して情報処理学会誌に投稿予定である.
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