2006 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性をもつ新しい高速特異値分解法の開発とその理論解析
Project/Area Number |
17740055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 雅史 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (30397575)
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Keywords | 特異値分解 / I-SVD / ロトカ・ボルテラ系 / 中心多様体理論 / 漸近解析 / 画像圧縮 / KL変換 / SPHIT |
Research Abstract |
古典解析学で知られた中心多様体理論を利用して、我々が独自に開発した特異値分解法I-SVDの美しい数理構造を調べた。漸化式を繰り返し使う反復解法では、漸化式を使う回数が多くなるほど確実に収束へと向かうのが理想的である。しかしながら、この点が不明確な反復解法は意外と多い。理想的ではない反復解法を使う際には"どのタイミングで停止させるべきなのか?"という疑問が残り、反復解法を使うユーザによって解が異なることもある。本研究では、ある有限回の繰り返し以降ならばI-SVDは理想的な反復解法となることを明らかにした。つまり、I-SVDを使えばユーザによらず常に精度のよい特異値分解が得られることを保証したことになる。具体的に示した内容は、ある条件が満たされるとそれ以降は漸化式を繰り返し使っても常に中心多様体が存在すること、中心多様体の存在によってI-SVD方は一様に収束に向かうこと、の2点である。ほかの特異値分解法について解析したが、常に中心多様体が存在するとはいえず、I-SVDのように信頼性を高めることはできなかった。以上の結果は、平成18年11月29日京都大学数理解析研究所において"Asymptotic analysis of the mdLVs algorithm in terms of center manifolds"というタイトルで発表し、論文にまとめてHokkaido Mathematical Journalに投稿した。一方、特異値分解を利用した画像圧縮方法の研究では、平成17年度は理論的に新しいアイデアを提案したにとどまったものの、平成18年度には圧縮性能の指標となるPSNR値において提案手法がJPEGを上回る結果も得ることができた。これらは「Kakarala-Ogunbonaの画像分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズム」というタイトルで論文にまとめ情報処理学会論文誌に投稿した。
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Research Products
(1 results)