2005 Fiscal Year Annual Research Report
無限分解可能過程からの離散観測に基づく未知母数の推定および関連した高次理論
Project/Area Number |
17740061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 九州大学, 大学院数理学研究院, 助手 (10380669)
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Keywords | 確率過程 / 無限分解可能性 / 漸近推測 / 確率微分方程式 / 高次分布論 |
Research Abstract |
[1]確率微分方程式からの離散観測に基づいた標本路同期型推定量の一致性およびその収束率を明確化した上での確率緊密性と漸近正規性の為の十分条件を,ある意味で再帰的な場合において導出した.本結果の重要な適用例として,飛躍を持つ拡散過程の場合を調べた.この場合の再帰性(混合性)の検証については,現在投稿中の筆者による結果がある.さらに本研究を通じ,非再帰的な場合でも異なる条件のもとで同じ推定量が一致性をみたすことが分かった.上記結果については,最尤推定が困難であるという事実を踏まえ,推定値の計算が容易であるという実用性を有していてしかもより効率の高い推定量の構成の為の初期推定量としての役割を担うことから,その意義は十分高いと考えている. [2}近年数理ファイナンスで注目を集めていた一種の確率変動ボラティリティモデルにおける対数収益率の分布の高次近似の理論的正当性を証明した.ここでも,筆者による「飛躍のある拡散過程の指数的混合性」に関する結果が本質的になった.これにより,市場で実際に観測される長期期間での近似的正規性および短期間での非正規性を同時に説明する統計モデルとして機能する為の理論的根拠を与えることができた.未知母数の推定に関しては,別の論文において,実用的な積率推定の枠組みを定式化してある.そこでは抽象的な枠組みでモデルを既述し,汎用性を持たせたが,特に上記の確率変動ボラティリティモデルを一数値例として考察した.また,上記モデルの提案者との議論を通じ,ボラティリティを既述する確率過程が長期記憶型の場合の方がより需要が高いということを認識できた. [3]安定レヴイ駆動型モデルを対象とし,漸近的高頻度サンプリングに基づいた局所漸近正規性を得た.その結果,フィッシャー情報量行列(の一部)が常に退化するという,典型的な正規(ウイーナー)型とは著しく異なる現象を呈することが分かった.
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Research Products
(3 results)