2006 Fiscal Year Annual Research Report
無限分解可能過程からの離散観測に基づく未知母数の推定および関連した高次理論
Project/Area Number |
17740061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 九州大学, 大学院数理学研究院, 助手 (10380669)
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Keywords | 確率過程 / 無限分解可能性 / 漸近推測 / 確率微分方程式 / 高次分布論 |
Research Abstract |
近年様々な応用分野でその需要を増している飛躍付拡散過程に対して漸近統計推測を厳密に定式化する際には,不変分布の存在,遷移半群の不変分布への一種の収束およびその収束速度(全変動ノルムの意味でのミキシング速度)が頻繁に要求される.これらの性質の為の十分条件を,マルコフ型確率微分方程式の一般形である「拡散項-無限微小飛躍」の状況をも包含できる枠組みにおいて整備した.この結果は純粋飛躍型でも適用可能であり,筆者の先行結果である,レヴィ駆動型オルンシュタイン-ウーレンベック型過程に関する結果を等しく一般化する.また「拡散過程+複号ポアソン型飛躍」の場合には,上記論文の証明の一部を本質的に変えることで,より検証し易い十分条件を定式化可能であることが分かった(この結果は現在投稿中). 時間について連続的に変動する自然現象のモデリングにおいて,レヴィ過程は最も基本的なノイズとしての役割を演じるが,観測可能なデータは離散的であることが典型的である.このような状況において統計推測を定式化する場合,応用上重要な点は,「データの高頻度性」により,未知母数の推定量の最適な収束速度が変化する事である.すなわち,データが高頻度であればあるほどある種の未知母数に対して多くの情報が与えられる状況が存在する.この点は通常の時系列と大きく異なる点である.本年度の研究においては,特にガンマレヴィ過程と逆ガウスレヴィ過程に対して,最尤推定量の収束速度の母数毎の違いを明確化し,更に収束率および漸近効率の意味で最適な推定量を構成し,その漸近挙動を厳密に導出した.本結果は,古典的な独立動分布観測の設定とは大きく異なる様相を呈する.本結果は今後の研究課題である,一般のレヴィ過程および飛躍型確率微分方程式における同様の考察への大きな足掛かりとなった.
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Research Products
(2 results)