2007 Fiscal Year Annual Research Report
無限分解可能過程からの離散観測に基づく未知母数の推定および関連した高次理論
Project/Area Number |
17740061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 助教 (10380669)
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Keywords | 確率過程 / 無限分解可能性 / 漸近推測 / 確率微分方程式 / 高次分布論 |
Research Abstract |
様々な実データ時系列の背後にある確率過程の構造に関する漸近推測,その中でも特に,確率過程の二次変動の局所的性質を加味した推測方式を研究した.また,漸近推測に際して必要となる,確率過程の漸近挙動も興味の対象である.今年度は特に下記の結果を得た. 1. Realized multipower variation(MPV)の長期高頻度観測版を定義し,その漸近挙動を導出した.統計への応用として,確率過程の飛躍部分が適当な条件をみたす下では,飛躍の具体的な構造に関係なく(それを局外母数として)拡散部分およびドリフト部分を同時に漸近正規性をもって推測可能であることが分かった。推定量は計算容易であり,より精度の高い推定量の構成に役立つことが期待される. 種のウィーナーポアソン確率積分に関する条件付期待値の公式を導出した.これはウィーナー積分に関する既存の結果を拡張するものであり,飛躍付確率過程モデルへ "small-sigma"理論を適用する際に,その実装における基本的な道具となる. 3.合ボアソン型飛躍付拡散過程の$\beta$-ミキシング性を,(ランダムな)初期条件に関係なく成立する条件を導出した.条件は全て当該確率微分方程式の係数およびレヴィ測度で表現されており,検証容易である. 4. 期間で高頻度データが得られない場合での日次ボラティリティの推定方法を,ウェイト付実現ボラティリティを介して定式化し,実証分析を行った.このような推定手法は,昼休みと夜間において取引が停止する日本市場などにおいて,特に夜間の収益率変動が累積ボラティリティに及ぼす影響が大きいことが経験的に知られているため,重要である.本結果は,経済で重要なボラティリティ予測を安定して行うための道具となる.
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Research Products
(9 results)