2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740062
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
金 大弘 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (50336202)
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Keywords | 摂動パラメータ付き拡散過程 / 脱出時間分布 / ポアンカレ型不等式 |
Research Abstract |
18年度の研究では、正則性を持っていない重みポテンシャルにおける拡散過程の白色雑音ゼロ極限問題(zero white noise limit problem)およびその応用問題を考えるのが目標課題であった。この問題を確率論的に形式化すると「摂動パラメータ付き確率過程における挙動」を解析することになるが、そのなかでも特に、摂動パラメータ付き拡散過程における任意領域上の脱出時間分布の挙動や任意領域滞在時間分布の挙動などの解析を具体的に行った(研究成果参照)。方法論的には、拡散過程に対応する解析学的概念である強局所ディリクレ形式におけるスペクトラル・ギャップ(spectral gap)の摂動0に対する漸近挙動とポテンシャル関数における任意領域上のある幾何学的量の関係に対する特徴付けが重要な道具となっている。この研究結果は、物理数理や工学分野でも応用の幅が広い焼きなまし過程やランダム環境をもつ多次元拡散過程に関する新たな理論展開にもその波及効果を期待している。今後の研究計画としては、焼きなましモデルをはるかに含む一般的な非同次確率過程、すなわち、時間に依存する摂動パラメータ付きのスペース・タイム拡散過程(space-time diffusions)における任意領域上の再帰・非再帰性を中心としてしらべる予定である。 このときの主な道具としては、ディリクレ形式にかかわるポアンカレ型不等式の正式化が重要であることが予想できる。
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