2006 Fiscal Year Annual Research Report
スプラインによる数値調和解析の研究と非線形偏微分方程式への応用
Project/Area Number |
17740064
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上野 敏秀 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 客員研究員 (40381446)
|
Keywords | サンプリング近似 / sinc関数 / 高精度補間 / sinc-interpolation法 / スプライン / 標本補間 / 偏微分方程式 / ウェイヴレット |
Research Abstract |
1標本補間に適した基底関数の構成 与えられた等間隔の標本点から高精度に補間を与える基底関数として、これまではスプライン関数を用いて構成したが、基底関数自身の滑らかさを上げるためには、用いる種類や平行移動に数多くのスプラインを必要とするため、構成・応用の両面とも現実的ではない。そこで、標本近似に関する条件(Strang-Fix条件、モーメントに関する条件)に注目すると、これらの条件を満たす関数としてsinc関数がある。この関数を基底関数とするサンプリング近似は、帯域制限のある関数には非常によい近似(補間)を与えるが、帯域制限のない関数を扱う場合、それからこの関数自身の遠方での減少の遅さ、が数値計算への応用を試みる我々にとって改善したい点であった。そこで、sinc関数とある局所多項式の合成積により基底関数を構成することで、標本近似に関する2つの条件を満たしつつ遠方での減少の早い基底関数を構成することに成功した。これは、コンパクト・サポートは持たないが、対称でその微分についても良い性質を持つものである。また、サンプリング近似した関数と元の関数の理論的近似誤差評価では、実函数論・複素函数論的手法の二種類の方法でL^pノルムによる不等式評価を行い、同じオーダーで評価することができた。 2数値計算への応用 1で構成した基底関数を用いた数値的応用を行い、近似精度について検証した。構成したsinc関数と合成積を取る関数をうまく選ぶことにより遠方での減少をより早くすることができ、その減少の速さがサンプリング近似した関数の近似度にも影響を与えることが分かった。また、偏微分方程式の数値計算としては、KdV方程式や波動方程式に適用し、高精度な数値解を得ることができた。その解法には、sinc関数を基にして構成しているsinc-interpolation法をベースにして構築したものである。
|