2005 Fiscal Year Annual Research Report
平行平板間における非圧縮粘性流体の実解析的方法による数学解析
Project/Area Number |
17740072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阿部 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70396274)
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / Stokes方程式 / レゾルベント評価 / 解析的半群 / 境界値問題 / Sobolev空間 / Besov空間 / 一意性 |
Research Abstract |
非圧縮性粘性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式の研究を,流体の占める領域が二枚の平行な板の間である場合を中心に行った.平行平板間における流れの解析は物理的な問題として重要であり,また数学的立場からいえば境界が有界でない典型的な例である.まさに実解析的方法の発展により数学的な解析が可能となった分野である. まずはStokes方程式の定常問題に対する解の存在と一意性を,外力を与える関数がSobolev空間やBesov空間に属する場合について考察した.従来のL^p-理論を高階微分まで含めた関数空間に拡張し,さらにBesov空間を用いてpが1および無限大の場合を扱っている点が大きな特色である.pが無限大の場合は解の一意性は成り立たないが,それらの解はPoiseuille流の違いしかないことが証明された.この双対として,pが1の場合には任意の外力に対して解が存在することは期待できない.そこで,解が存在するための外力に関する十分条件を与えた. 次に,平行平板間におけるNavier-Stokes方程式の初期値境界値問題を考えるための準備として,Sobolev空間とBosov空間に対するHelmholtz分解を,微分可能性を表す指数が負の場合も含めて示し,さらにStokes作用素のレゾルベントを評価した.この結果,Stokes作用素はSobolev空間やBesov空間の上で解析的半群を生成することがわかり,負の微分可能性をもつ初期値に対しても,解を逐次近似法により構成することが可能となった.n乗可積分関数の初期値に対する時間局所解の存在はよく知られているが,本研究は微分可能性の低い,より広い関数空間を初期値のクラスとして扱うことを目標としている.現在のところ,空間無限遠で減衰しないような初期値を扱うことはできないが,今後明らかにしていくべき課題であると考えている.
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