2005 Fiscal Year Annual Research Report
電磁場中における多体量子力学系に対するスペクトル・散乱理論
Project/Area Number |
17740078
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 匡義 神戸大学, 理学部, 助教授 (30281158)
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Keywords | 多体問題 / スペクトル理論 / 散乱理論 / 波動作用素 / 漸近完全性 / 電磁場 |
Research Abstract |
『定磁場内での3体量子力学系に対するスペクトル・散乱理論』 標記の研究において、定磁場内で1個の非荷電粒子と2個の荷電粒子からなる3体量子力学系を考え、系の全電荷は0でないという仮定の下で、系の運動を支配するハミルトニアンのスペクトル構造を調べるのに有用なMourre評価を導出した。昨年度、定磁場に直交する平面での問題に限ってではあるが、上記のMourre評価を得ていた。しかし、その際には、2個の荷電粒子の電荷が同符号か異符号かによって場合分けをしてポテンシャルの仮定をせねばならなかった。今回、その電荷の符号による制限を外すことができたことと、空間次元を2次元だけでなく、3次元でも扱えるようにしたことが収穫である。空間次元によってconjugate operatorの構成法に差異があるが、このconjugate operatorを用いて散乱理論が展開されれば、定磁場中の散乱描像の、空間次元による差異を表すことができるものと思われる。 『時間周期的に変動する一様電場内での電荷輸送モデルに対する散乱理論』 標記の研究において、対象となる粒子と、古典軌道に沿って運動する粒子とで比電荷を比較し、その比電荷が異なる粒子同士の相互作用ポテンシャルが短距離型である場合に、(修正)波動作用素の存在とその漸近完全性を証明した。比電荷の同じ粒子同士の相互作用ポテンシャルは長距離型でも良いところが興味深いと思われる。この結果は、私の学生である香山氏との共同研究によるものである。 以上の結果について、学術論文による今年度中の発表はできなかったが、東北大学、学習院大学、愛媛大学、京都大学、大阪大学、九州大学、北海道大学、熊本大学におけるセミナー・談話会・研究集会等での口頭発表を行った。現在学術論文による発表の準備をしている。
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