2006 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間とクライン群の変形空間の複素解析的構造の研究
Project/Area Number |
17740083
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
宮地 秀樹 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (40385480)
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Keywords | リーマン面 / タイヒミュラー空間 / 極値的長さ / Gardner-Masur境界 |
Research Abstract |
(1)昨年度に得た漸近的タイヒミュラー空間の構造の研究を発展させた.具体的には,単位円板の漸近的ベアス埋め込みの像の閉包の特徴付けを,展開写像を用いて行った.具体的にはAstala-Gering型の特徴付けが漸近的タイヒミュラー空間にも成立することを示した.本来漸近的タイヒミュラー空間はタイヒミュラー空間の商空間として定義されることらかこれらの幾何学的特徴付けはこれからの漸近的タイヒミュラー空間の研究に応用があると期待している.これらの研究をまとめたものは現在投稿中である. (2)タイヒミュラー空間はリーマン面の複素構造の変形空間である.現在ではリーマン面の変形方法はさまざまな方法が知られている.今年度は,その中でも極値的な変形であるタイヒミュラー変形(リーマン面の特異アファイン構造の変形)について研究した. 具体的には,これらの変形は閉曲線の極値的長さ及び,タイヒミュラー距離(小林距離)に関する幾何学と密接に関係していることから,現在は,それらに関する自然な境界と思われる,タイヒミュラー空間のGardinar-Masur境界に関する幾何について研究している.この境界の構造について,現在はほとんど研究されていないが,タイヒミュラー距離に関する発散にリーマン面の退化に関する幾何(極値擬等角写像,アファイン変形の幾何)と複素解析的幾何の関係を研究するのに自然な対象であることを期待している.これらに関する論文が現在,準備中である.
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