Research Abstract |
(1)佐藤超函数に関して,いわゆる小松・河合及びSchapiraの割算定理は,非特性な場合には単独方程式から方程式系に,更にはLaurent-Monteiro Fernandesによって,Fuchs型の方程式系にまで拡張された.これらは,特に境界値問題の定式化に本質的な役割を果たしており,重要な結果である.これをSchwartz超函数解に取り替えた時も,従来の結果を組み合わせれば,容易に全く同様の結果が得られる,次にGevery ultradistribution解については,非特性の場合,単独方程式の時は,既に小松によって証明されており,方程式系に関しては,この結果から容易に示される.そこで私は,Fuchs型偏微分方程式に対して,同様の割算定理を考察した.その結果,方程式に応じて「非正則度」が定まり,ultradistributionのGevery orderがその非正則度より小さい時は割算定理が常に成立するが,非正則度の条件を満たさない時は割算定理が成立しない例がある事が証明できた.この結果は,東京大学代数解析火曜セミナー(2006年5月)及び京都大学数理科学研究所研究集会「微分方程式系の代数解析と完全WKB解析」(2006年12月)で発表され,今年度,京都大学数理科学研究所別冊シリーズのproceedingで論文として発表された.又,その後の進展として,単独方程式から,方程式系への拡張が可能である事が判った(論文準備中). (2)Gevery函数及びultradistributionの範疇で,Gevrey増大度のクラスに応じた非正則度と呼ばれる条件を方程式系に課せば,境界値を取る事が可能となり,双曲型という条件の下で,Cauchy問題及び境界値問題の一意可解性を証明した(論文投稿準備中).
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