2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形弱双曲型システムの解のライフスパンに関する研究
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17740088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 保 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (90301077)
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Keywords | 双曲型 / システム / ライフスパン |
Research Abstract |
非線形双曲型システムに取り組む上で、昨年度は第一ステップとなる非線形問題をモデル化した線形問題の大域解の存在に重点をおき、研究を行った。今年度は第二ステップとなる非線形問題への移行も踏まえて、次のことに着目して研究を行った。 (線形問題)単独の方程式に対して得られている結果は、システムの構造的な観点からみると一部分である。それらを含む総合的なシステムの性質を定式化したい。また一般のシステムの中で、単独の方程式には含まれないような独自の作用をもつシステムを見いだしたい。 (非線形問題)まずは単独の方程式に対して、低階の非線形項の及ぼす影響を研究したい。解のライフスパンは関数空間により大域的に延長できるか否かが決定するが、blow-upオーダーを詳しく解析することで、限界となる関数空間を探りたい。 1.昨年度に引き続き、ピサ大学のS.Spagnolo氏,ローマ大学のP.D'Ancona氏と、2×2の線形のシステムに対して詳しい研究を行った。昨年度よりもさらに改良し、必要十分条件に近い結果が得られた。 2.昨年度に引き続き、フライベルグ大学のM.Reissig氏,トリエステ大学のD.Del Santo氏と、単独の2階の方程式であるKlein-Gordon方程式に対して、blow-upオーダーの解析を行った。昨年度よりも低階項の係数の形を一般化することに成功したので、非線形問題への発展が期待できる。また、興味深い反例を見つけることができた。 3.テキサス大学のK.Yagdjian氏と、2階の弱双曲型であるTricomi-type方程式に対する解の表現式を導き、ライフスパンと関係の深い大域的な解の減衰評価が得られた。
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