2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹山 美宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60375392)
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Keywords | 量子可積分系 / qKZ方程式 |
Research Abstract |
今年度は以下の二つのテーマについての研究を行った。 1.可積分な量子スピン系の相関関数の代表的表示 昨年度までの研究で、可積分な量子スピン系であるXXX模型の相関関数を、リー代数sl_2の表現論を用いて構成した。今年度はこの結果をXXZ模型およびXYZ模型の場合に拡張した。我々の相関関数の構成法は以下の通りである。これらの模型における相関関数はqKZ方程式と呼ばれる差分方程式を満たす。そこで、この方程式の解を表現論的に構成し、その解析性を調べることで、我々の解が実際に相関関数に等しいことを示すのである。以上の構成法で、XXZ模型(massiveの場合)については、量子アフィン代数U_9(sl_2)の表現論を用いて、相関関数の代表的表示を得ることができた。XYZ模型の場合については、我々の構成法により得られる関数がqKZ方程式の解であることの一般的な証明はまだ成功していないが、ある特別な場合にはそれがXYZ模型の相関関数に等しいことが数値的に確かめられた。我々の構成した相関関数の表示式は完全に代表的なものであり、これまで知られていた多重積分による表示式に比べ、より良い精度で数値計算を実行できるものであることが期待される。 2.共形場理論における状態空間の組み合わせ的研究 共形場理論は二次元の可積分な量子場の理論である。その状態空間は、数学的にはヴィラソロ代数の表現空間として実現することができ、代数学的にも興味深い対象である。我々は、この空間の組み合わせ論的な記述を構成した。共形場理論の状態空間は、真空状態とprimary fieldと呼ばれる場の作用素で生成される。我々は、(2,1)-fieldと呼ばれるprimary fieldのフーリエ成分を、真空状態にどのように作用させれば状態空間の基底を構成できるのかを調べ、その条件を組み合わせ論的に書き下した。
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Research Products
(4 results)