2005 Fiscal Year Annual Research Report
くりこみ理論の再定式化を用いた複素力学系のパラメータ空間の研究
Project/Area Number |
17740093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲生 啓行 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00362434)
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Keywords | 複素力学系 / くりこみ / Julia集合 / Connectedness locus |
Research Abstract |
くりこみ可能な三次多項式の組み合わせ論的性質をrational laminationによって記述し、与えられた組み合わせでくりこみ可能なパラメータ集合の性質に関する研究を行った。これは2次多項式ではマンデルブロ集合の小さいコピーに対応するものであり、コンパクト性や、くりこみの多項式類似写像としてのstraighteningから得られるパラメータ集合上の自然な写像がいい性質を持つことが期待されていた。 6月にフランスのCIRMで行われた研究集会"Conformal Dynamics、Hyperbolic Geometry、and Continued Fractions"での出席者との研究打合せで、2次のくりこみを持つような組み合わせ(Milnorの分類におけるcapture型とdisjoint型)については、上で述べたパラメータ集合がコンパクトであることがわかると、straighteningから得られる写像が全単射になることがわかった。またcontiguousでないようなくりこみの場合コンパクト性が成り立つことは、研究代表者によるくりこみ可能な多項式の列の極限に関する以前の研究を応用すれば得られることもわかった。 また、2006年2月から3月にかけては、カナダのフィールズ研究所を訪問し、上の結果についての研究発表と、研究打合せを行った。特に宍倉氏との近放物型くりこみについて多く議論を行い、線形化問題やジュリア集合の測度等に関する有益な情報交換を行った。 複素力学系の研究に関しては計算機での数値実験が歴史的に見ても非常に重要な役割を果たしており、また近年では精度保証付き数値計算による計算機援用証明なども行われている。そのためPowerMac G5を購入し、多くの数値実験を行うことで研究を進めた。
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Research Products
(1 results)