2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740095
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野邊 厚 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (80397728)
|
Keywords | ソリトン方程式 / 超離散化 / テータ関数 / 戸田型セルオートマトン / 変形KdV方程式 |
Research Abstract |
平成17年度は次に挙げる二つの研究を行った。(1)ソリトン方程式の準周期解を構成する際に重要な,テータ関数の超離散化に関する研究。(2)変形KdV方程式のソリトン解の超離散化に関する研究。 超離散化の手法の発見以降,KdV方程式をはじめとする様々な可積分方程式のソリトン解の超離散化についてはよく研究されてきたが,準周期解の超離散化についてはあまり調べられていなかった。そこで,研究(1)では,テータ関数の実軸方向の周期性に着目し,その周期性を保つような超離散化を行い,各変数につき周期1の周期性をもつ多変数の区分的2次関数を導出した。また,この関数の満たす恒等式(リーマンのテータ公式の超離散類似)を導出した。この恒等式に含まれる変数を特殊化することにより加法公式が導かれる。このようにして得られた区分的2次関数と加法公式を用いて,代表的な超離散可積分方程式である2次元戸田型セルオートマトンの周期波解を構成した。2次元戸田型セルオートマトンは最も基本的な超離散可積分系と考えられるため,箱玉系など他の超離散可積分系の周期波解も同様の手法で構成可能である。今後は引き続き,本研究で構成した2次元戸田型セルオートマトンの周期波解とKricheverの方法により構成した2次元戸田方程式の準周期解の直接的対応関係について調べる予定である。 共同研究者と行った研究(2)では,変形KdV方程式の新しい形のNソリトン解を提出し,これまでの研究では明らかでなかった運搬車付き箱玉系との対応関係を明らかにした。 これらの研究成果を論文誌に投稿し,出版された。
|