2005 Fiscal Year Annual Research Report
惑星系の形成:星周円盤の進化を赤外線ダストバンド観測から探る
Project/Area Number |
17740103
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡本 美子 茨城大学, 理学部, 講師 (10343469)
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Keywords | 赤外線天文学 / 星・惑星系形成 / 星周円盤 / ダスト / すばる望遠鏡 / 赤外線天文衛星「あかり」 |
Research Abstract |
惑星系形成における星周円盤および円盤ダスト進化について、(1)円盤ダストの物質進化を調べる、(2)近傍円盤の高空間分解能分光からダスト分布や円盤構造を明らかにする、の二点を目標とし、以下の2点から研究を進め成果を得た。 (A)Astro F(あかり)衛星を用いたベガ型星・Herbig Ae/Be型星の遠赤外線ダスト分光による円盤ダスト進化の統計的研究 シリケイトダストの結晶化の進行について、あかり衛星による観測計画最終案をまとめ、衛星のミツシヨンプログラムの一環として提出し採択された。衛星は、2006年2月に打ち上げられた。来年度から実際に観測が進められ解析を始める。本年度は準備として、解析用計算機・データ解析ソフトの立ち上げなどを行った。 (B)近傍のベガ型星・Herbig Ae/Be型星の高空間分解能10ミクロン帯分光 2005年7月・10月に、すばる望遠鏡の中間赤外線装置COMICSを用いた近傍円盤の高空間分解分光を行った。7月の観測で、10ミクロン帯分光アストロメトリの手法を確立し、0.1秒角程度の広がりまで検出できている。これまでに複数のHerbig Ae/Be型星が10ミクロン帯でも、芳香族炭化水素(PAH)フィーチャ放射や、長波長側での連続波放射で広がっていること、非晶質シリケイトで広がった天体もあることを見出した。検出されている広がりサイズは十〜数十天文単位で、円盤表面への紫外線照射や加熱度合の情報をもっており、今後さらに解析を進める。実際にこれまでに、ある例では、11ミクロン付近のPAHフィーチャのバンド強度比やピーク波長が星からの距離によって変化しており、星からの輻射場に依存して炭素質ダストの電離状態が変化していることを見出した。ここで得た成果は、星・惑星系形成の国際会議・ワークショップ、日本天文学会、国内研究会等において発表した。
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Research Products
(5 results)