2005 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射流体シミュレーションによる活動銀河中心核の形成及び進化の研究
Project/Area Number |
17740111
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大須賀 健 立教大学, 理学部, 助手 (90386508)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / 輻射流体力学 / 輻射輸送 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
近年、銀河中心の超巨大ブラックホールと母銀河の星の速度分散に相関があることが発見され、ブラックホールの成長と銀河の進化には密接な関連があることがわかってきた。母銀河からの質量供給が中心ブラックホールの成長を促進し、ブラックホールからのジェットや放射といったフィードバックが銀河進化に影響を与えることが考えられるため、ブラックホールへのガス降着の物理を調べることは重要である。 そこで、本年度は、まず2次元輻射流体シミュレーションの並列コードの開発・改良を行った。ブラックホール周囲では、重力エネルギーが輻射エネルギーに転換され、輻射圧がダイナミクスを支配するため、輻射場を正確に解くことは必須である。 開発したコードを用い、ブラックホール周囲のガス降着流の時間進化を調べた。本年度は、特に粘性降着円盤特有の不安定と、それに起因する円盤全体の状態変化に着目した。計算の結果、円盤は質量降着率がある範囲にある場合に不安定を起こし、質量降着率の大きな高光度状態と、比較的質量降着率の小さな低光度状態を周期的に遷移することがわかった。また、粘性モデルを変えてシミュレーションを行ったところ、このような周期的変動現象は起こらなかった。このことから、周期変動の原因が粘性円盤特有の熱的不安定であることを明らかにした。この結果から、ブラックホール天体の一つ、マイクロクェーサGRS1915+105が示す周期的な光度変動と間歇的ジェット生成の物理メカニズムは、円盤不安定であると理解できる。
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