2006 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射流体シミュレーションによる活動銀河中心核の形成及び進化の研究
Project/Area Number |
17740111
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大須賀 健 立教大学, 理学部, 助手 (90386508)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / 流体力学 / 輻射輸送 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
近年、銀河中心の超巨大ブラックホールと母銀河の星の速度分散に相関があることが発見され、ブラックホールの成長と銀河の進化には密接な関連があることがわかってきた。母銀河からの質量供給が中心ブラックホールの成長を促進し、ブラックホールからのジェットや放射といったフィードバックが銀河進化に影響を与えることが考えられるため、ブラックホールへのガス降着の物理を調べることは重要である。 そこで、本年度は、ブラックホールへのガス降着流の基礎物理を調べるべく、昨年度に引き続き2次元輻射流体シミュレーションを実行した。その結果、マイクロクェーサーと呼ばれる天体の、準周期的光度変動現象の原因が、ガス円盤における熱的不安定である事を示す事ができた。ガス円盤で熱的不安定が起こると、円盤全体が厚い状態と薄い状態の間を周期的に遷移し、それが周期的な光度変動を生み出すのである。これは2次元シミュレーションでは世界初の成果である。 また、数値シミュレーションで再現されたガス降着円盤の輻射スペクトルを理論的に計算し、X線の観測データとの比較を行った。 さらに、銀河中心領域へ大量のガスが供給された場合、ブラックホール降着円盤がいかなる構造を示し、また、どれほどの輻射やジェットを放出するかを定量的に明らかにした。この輻射やジェットは母銀河の進化に影響を与える事が予想されるため、この研究は冒頭で述べた超巨大ブラックホール形成と母銀河の共進化を解き明かすための重大な一歩である。
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