2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波サブミリ波精密モニター観測による巨大ブラックホール研究の開拓
Project/Area Number |
17740114
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
井口 聖 国立天文台, 電波研究部, 上級研究員 (10342627)
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Keywords | バイナリーブラックホール / ミリ波サブミリ波 / ブラックホールの軌道運動 / 精密モニター観測 / 共通雑音 / 独立雑音 / 4-12GHz常温アンプ / 4-12GHzバンドパスフィルタ |
Research Abstract |
本研究では、このBBH発見をさらに確かなものとするため、ミリ波サブミリ波による巨大バイナリーブラックホールを携えた楕円銀河3C66Bの精密モニター観測を実施する。 3C66BにBBHが存在するなら、ブラックホールの軌道運動に伴う電波強度の周期変動が観測されるはずである。なぜならば、ジェットを出しているブラックホールの軌道運動の速度とジェットの速度の合成により、ジェットの視線角はBBHの軌道運動と同じ周期で変動するからである。これにより、ジェットよるドップラー・ブースティング・ファクターが変化し、それによりジェットからの放射強度が見かけ上変動したように観測されることが期待される。そして、その振幅はBBHの質量の情報も含んでいるため、高精度な強度モニター観測により、BBHの質量を正確に抑えることができる。 今年度は、精密モニター観測システムの立ち上げにあたり、本質的な感度計算式の導出を十分に検討した(研究発表 雑誌論文参照)。その中で、今までに掴みきれなかった電波天文観測システム上で滞在してきた共通雑音と独立雑音の混入メカニズムを解明することに成功し、これにより本研究のみならず今度の観測装置開発において非常に役立つ本質的な原理・観測法的式を解明できたといえる。 また、精密モニター観測システムの立ち上げにあたり超高精度モニター観測を実現するために"4-12GHz帯域幅IFシステム"を設計し、その中で広帯域特性を実現するための"4-12GHz常温アンプ"、帯域外信号除去のための"4-12GHzバンドパスフィルタ"などを開発した。今後、このような広帯域IFシステムの実現は世界でも初めてであるので、観測装置としての斬新な点などをまとめた論文を出版する予定である。
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