2005 Fiscal Year Annual Research Report
多波長大規模サーベイによる活動銀河核・銀河の共進化の解明
Project/Area Number |
17740121
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 佳宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10290876)
|
Keywords | 活動銀河核 / X線サーベイ / ブラックホール |
Research Abstract |
銀河中心巨大ブラックホールと銀河が宇宙論的タイムスケールでダウンサイジングを示し、共進化しているらしいという証拠を観測的に検証するため、以下の方法で研究を進めた。まず、申請者らが2年前に求めた硬X線で選択された活動銀河核の光度関数を用いて、ブラックホールの質量関数の「連続の式」を赤方偏移3において適当な初期条件を仮定して解き、その時間発展を求めた。いっぽう、これとは全く独立に、最近の系統的な銀河サーベイで求まった楕円銀河(バルジ成分)の光度関数から、近傍宇宙で得られたブラックホール質量とその光度の関係(いわゆるマゴリアン関係)を仮定することでブラックホール質量関数を求めた。その結果、両者のブラックホール質量関数は、赤方偏移1以下の範囲で矛盾なく一致することが分かった。この結果は、少なくとも赤方偏移1以下においては、ブラックホールと銀河が共進化しているという描像と合致するものである。以上の結果はMNRAS誌に報告した。これらと平行して、活動銀河核の硬X線光度関数の精度を向上させる研究を続け、最新の結果をスペインで開かれた国際学会で口頭発表(招待講演)した。さらに「すばる」-XMMディープサーベイ計画においては、X線カタログと可視カタログに加えスピッツア衛星による赤外カタログを用いることでX線源の同定の信頼性を向上させた。特に、可視で暗い天体の「すばる」での分光結果をまとめ、それらの多くが吸収された大光度活動銀河であることをつきとめた。
|