2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の階層構造の重力レンズ効果による暗黒物質と暗黒エネルギーの性質の探求
Project/Area Number |
17740129
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 昌広 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40374889)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 重力レンズ / 暗黒エネルギー / 宇宙の構造形成 |
Research Abstract |
本研究は、現存の観測データあるいは計画中の宇宙論的観測計画を念等に置きながら、宇宙の質量の大部分を占める暗黒エネルギーと暗黒物質の性質を実証的に解明することを最終目的とする。特に、すばる望遠鏡の観測データを用い、宇宙の階層構造による重力レンズ効果を測定することで、暗黒エネルギー及び暗黒物質の性質を制限する方法に着目している。この観点から、本年度は主に以下の研究成果を発表している。 1.すばる望遠鏡に次世代視野カメラ・多天体分光器を登載し、数1000平方度にわたる領域の銀河サーベイを行うことで、暗黒エネルギーの性質を今までにない制度で探求するための計画が検討されている。我々は、この銀河サーベイの観測量を用いることにより、暗黒エネルギーのみならずビックバン背景ニュートリノの質量に厳しい制限を加えることができることを示した。ニュートリノ震動の地上実験はニュートリノの質量に下限を与えているが、上記の銀河サーベイはニュートリノの質量に上限ではなく、実際の測定を可能にすることを指摘した。 2.一般の暗黒エネルギーの性質として、そのエネルギー密度が時間進化するということのみならず、空間的な揺らぎ成分を持つことが予想される。これらの2つの情報は相補的であり、両者の観測的制限によって、詳しい暗黒エネルギーの性質に迫ることができると考えられている。我々は1で述べた大規模銀河サーベイを用いて、銀河分布のクラスタリング測定から暗黒エネルギーの空間的揺らぎ成分を抽出する観測可能性について詳しく調べた、この結果によって、ある種の暗黒エネルギーモデルに対して、銀河サーベイが厳しい制限を与えることができることを初めて指摘した。
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